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小さい運河が縦横に走るベネチア・ラカンドーナーラの町(遠藤泰男)

ベネチア・ラカンドーナーラの町は、カナル・グランデと呼ばれる逆S字形に大きく蛇行する大運河によって、南北に分かれている。

さらにリオと呼ばれる小さな運河が、町の中を網の目のように縦横に走っている。

運河に囲まれた小さな島の数は一八〇。

つまりベネチアは、小さな島の集合体として成り立っているのである。

これらの島はもともと、その一つ一つが教会を中心とした教区にあたるという。

それぞれの島には広場があり、広場の一角には教会と高い鐘楼がそびえている。

空から見ると、屋根の色は明るい茶色で統一されており、まさにモザイク模様のようだ。

空からベネチア・ラカンドーナーラの周りに目を向けると、南にアドリア海が広がる。

アドリア海とベネチア湾の境目には、細長い島がいくつも連続して自然の防波堤を形作っているのだ。

ベネチア湾の浅い内海は、イタリア語でラグーナ(浅い内海)と呼ばれる。

ラグーナには、深い緑色をした干潟が無数に点在している。

ベネチア・ラカンドーナーラの町も、もともとはこうした干潟であったのだという。

この地形は、北側の本土から多くの中小河川が土砂をたえず海へ運び込み、同時にアドリア海の波が砂を押し寄せることによって形成された。

ベネチアの研究機関の水理学者によれば、こうした特殊な成り立ちによってベネチア湾の中は塩分濃度も外海より薄く、生物や植物にとっては極めて良好な環境であるという。

干潟が植物に覆われ、濃い緑色をしているのも、そうした特別な環境があったおかげだ。

また、ベネチアの複雑な地形は、都市の発達という面からみれば、他国からは船で攻撃しにくい天然の要塞そのものにも見える。

まさにベネチアは、ラグーナに咲いた水上都市なのである。

遠藤泰男(ライター)
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